企業内などで使用するITサービスの安定的かつ効果的な提供を実現したい場合は、ITSMについてチェックしておく必要があります。ITSMを正しく活用すれば、目的に沿ってITサービスを継続的に提供できるようになります。ここでは、ITSMとは何か解説すると共に、役割や重要性、類似用語のITILとの違いまで詳しくご紹介します。

ITSM(ITサービスマネジメント)とは

ITSM(ITサービスマネジメント)とは、ITサービスを安定的かつ効果的に提供するために、サービスを繰り返し改善・管理することです。5GやAI、IoTなどが隆盛を誇る現代では、ITサービスが多様化し、複雑性も高まっています。ITサービスの機能や効果、コストなどを理解し、企業内でより適切に利用していくためには、ITSMを実現するツールが必要となるケースも増えてきました。

ITSMの役割

ITSMの役割は、業務管理や変更管理、インシデント管理などです。

業務管理では、ITサービスの計画や供給、改善などを管理します。

変更管理では、ITサービスの構成要素を変更するリスクを低減し、利益を守ることを目指します。例えば、ハードウェアやソフトウェア、担当者の変更はITサービスの質の低下やトラブルのリスクが上がる要因です。ITサービスの質の低下やトラブルは企業の存続にさえ大きな影響を与えかねないため、変更管理は重要性が高いと言えるでしょう。

そして、インシデント管理は適切なITサービスの提供の障害を取り除き、従来通りのサービスを再び提供できるようにすることです。例えば、システムの不具合やサーバーダウンは、業務を大幅に滞らせたり、利便性を大きく低下させる恐れがあります。

このようなトラブルのリスクを低減すると共に、障害を速やかに排除することでITサービスを安定的に利用できるようにします。

なお、ITSMとは別に、IT資産の管理に重きをおいたものとして「ITAM(IT資産管理)」があります。ITAMでは、IT関連のハードウェアやソフトウェアの購入から廃棄、再展開などのサイクルを管理します。ITSMと一部機能が重なるところもあるので、ITAMがすでにある企業がITSMを導入する場合、統合なども必要になります。

ITSMの重要性

現代では、ITサービスを効率的に活用できるかできないかが、組織自体の成長をも左右することもあります。しかしサービスが増え続ける中、管理を行き届かせるのは大変な手間であり、ITSMを実現するツールの利用などが必要になってくるのです。

ITSMを導入すると、ITサービスの計画や供給が円滑になったり、トラブルを未然に防止できたりするため、業務工数の削減に繋がります。重要な業務に十分なリソースを割り当てられるようになり、業務効率化を実現できるでしょう。また、ITサービスの管理に関して、単純化や簡略化すべき業務が浮き彫りになることも業務効率化に繋がる理由です。

ITサービスの管理の効率化やITサービスの有効活用が進めば、生産性の向上も期待できます。

ITSMとITILの違い

ITIL (Information Technology Infrastructure Library)とは、ITSMにおける成功事例をまとめた書籍群のことです。従って、ITSMとITILは異なるものというわけではなく、ITSMをより理解するための参考となるものがITILであるということになります。

構成そのものがITサービスの適切な管理を実現するためのテンプレートになっています。サービスの企画・構築・運用の3ステップに基づき、「サービス・ストラテジ」「サービス・デザイン」、「サービス・トランジション」「サービス・オペレーション」「継続的なサービス改善」の5つに分類されています。

ITSMを導入するときのポイント

ITSMを導入する際は、次のポイントを押さえる必要があります。

現状分析で必要なツールを見定める

ITSMの実現には、ITSMツールの導入が必要不可欠です。さまざまなツールの中から自社に適したツールを選ぶには、まずは課題を浮き彫りにする必要があります。課題を解決できる可能性が高いITSMツールを選ぶことが大切です。

段階的に導入する

ITSMツールを即座に導入すると、現場の従業員は混乱する可能性があります。まずは一部の業務のみITSMツールを活用しましょう。「ツールを利用するメリットが大きい」、「その業務だけツールを利用しても全体の業務に影響がない」といった条件を満たす業務をピックアップしてみてください。

効果を検証する

ITSMツールを導入した結果、費用対効果が低いと思われる場合は、検討し直した方がよいかもしれません。また、社内にITツールの利用に慣れている従業員が少なく、ITSMツールの恩恵を十分に得られない場合も同様です。ただ、ITSMツールは基本的に複雑な操作性ではなく、ITツールに慣れていなくても短期間で活用できるようになる可能性があります。そのため、最初からITSMツールの利用をあきらめるのではなく、まずは導入してみることが大切です。

自社に合わせてカスタマイズする

ITSMツールの中には、自社の事情や状況に応じてカスタマイズできるものもあります。カスタマイズ性に優れたITSMツールを選べば、状況に応じてカスタマイズを繰り返すことで一定以上の効果を持続させられます。

ITSMを活用すれば、業務効率化や生産性の向上などが期待できます。ただし、自社に合ったITSMツールを利用しなければ十分な効果を得られません。そのため、まずは現状分析を通じて自社の課題を浮き彫りにすることが重要です。自社に合ったITSMツールを導入して、ITサービスの計画や供給、改善、管理を効率化してみてはいかがでしょうか。

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