ITサービス管理(ITSM)は、IT事業部門にとって欠かせない要素ですが、誤解され、その真価が認められていないことがあります。規模を問わず実質的にすべての企業が常にITサービス管理(ITSM)を必要としている現状があります。そしてこのニーズは今後も変わらず続くでしょう。堅実なITSMなしでは、企業が事業を運営し、業績を維持することはできないのです。

一方で、ITSMに関連するツールや技術、ベストプラクティスが著しく発展しているため、ITSMに関連する多数の記事の区別がつかなくなっている可能性があります。 

この記事では、ITSMの主要な部分とITSMが企業に対して継続的に提供する価値を取り上げます。 

ITSMのフレームワークについて理解を深めれば、IT事業部門、そして企業全体にとって欠かせないこの要素についてはっきりと理解でき、その真価がわかるようになります。そして結果的に、理解したことをITSMがもたらす独自の価値を最善の方法で活用するために役立てることができます。

この記事では、ITSMのフレームワークの4つの要素をご紹介します。また、各要素が企業にメリットをもたらす仕組みやこれらすべての要素があらゆる企業にとって欠かせない理由についてもお伝えいたします。

すべての始まりは満足度の高いサービス

ITSMの中核を担うのがサービスの提供です。ここで「サービス提供」には、正常に機能しないマシンの修理、毎日寄せられる大量の質問への回答、新入社員の環境設定のサポート、社員向けのモバイルデバイスの提供&設定、パスワードの管理など、絶えることなく求められるサービスの提供が含まれます。

「サービスの提供」は、社員が生産的な仕事を行うために求めている多くのニーズについて、また、これらのニーズの多くが最終的にITとITSMに関係していることについて考える上で役立ちます。 

そして、ITSMチームが満足度の高いサービスを提供すれば、すべての社員が生産的な仕事を遂行でき、結果としてお客様に対するサービスも向上されるという現実があります。

このつながり、すなわち、ITSM事業部門から社員、そしてお客様一人一人へのつながりを理解することはとても重要となります。このつながりは、現在企業にとって欠かせないものであり、技術に大きく依存している現状を踏まえると、かつてないほど重要なものとなっています。

私たちは、ITIL、COBIT、ISO、DevOps、アジャイルなど、興味深く広範にわたる多くのフレームワークに惹かれることがしばしばありますが、これらのフレームワークでは間違いなく、最高のITSMを実現することはできません。

もちろん、適切なフレームワークは、確実に構造と運用モデルの役に立ちますが、ITSMの中核は、実在する人々に満足度の高いサービスを提供することであるべきであり、あり続けるべきなのです。

ITSMによって可能となる品質の高いサービスは、IT事業部門、そして企業にとって成功の鍵となります。

ITのハブ

ITSMのプロセスと原理は、ITインフラストラクチャの資産と企業の社員を繋ぐという点で他のプロセスや原理とは異なります。ITSMと聞くと、企業の事業運営の要であるサービスを通してIT資産を活用することを思い浮かべることができます。 

IT資産と人とのつながりは、多くの場合、企業の全社員が毎日、日々の業務を遂行するために、スマートフォン、ノートパソコン、タブレット、デスクトップパソコンなど、何らかの形で資産を活用していることに直接表れています。

人と技術のこのつながりは、現在すべての企業にとって欠かせないものとなっており、技術への依存度は一度も低下することなく増加し続けています。これらの技術は、企業の社員が仕事をする手段となっています。 

スマートフォン、メール、インターネットへのアクセスはほんの一例にすぎませんが、こういった技術への社員の依存度について考えてみてください。これらのリソースは、規模を問わずあらゆる企業にとって必須となっているだけでなく、これらのシステムを信頼できる方法で動作させるためにも欠かせないものとなっています。

IT事業部門は、すべてが期待通りに動作することを保証するため、昼夜を問わず1日中取り組んでいます。 

さらに一歩踏み込んで考えると、ITSMのプロセスは、日常業務の要であり、各システムの健全性を保証するものでもあります。すべてが正常に機能している場合、誰一人不満を感じることはなく、誰もが当たり前にようにこれらのシステムを使用するでしょう。

ところが企業のインターネットアクセスが切断された場合やメールサーバーがダウンした場合、その瞬間に企業には大きな影響が及びます。さらに注意深く考察すると、アジャイルの原理のいくつがが、このハブ&スポークモデルと密接に関連していることがわかります。

技術から人、そしてお客様へと続く多くのつながりは、ITSMに秘められたとてつもなく大きな価値、そして企業が事業を運営し続ける上でITSMが担う役割を気付かせてくれます。

プロセス戦略&運用

ITSM事業部門によって提供されるすべてのサービスの裏には、事業プロセス、プロセス戦略、そしてプロセスモデルが存在します。お察しの通り、ITの世界ではプロセスが支持されます。そしてITSMの分野ほど、この傾向が顕著にみられる分野はないでしょう。 

インシデント管理、問題管理、変更管理、リリース管理、構成管理は、ITSMの中核を担うプロセスの一部にすぎません。また、これらの各プロセスに、プロセス自体を管理する重要な戦略があり、さらにプロセスモデル、日々プロセスを機能させる方法があります。

現在ほとんどの企業がITSM専用ソフトウェアアプリケーションを活用しているため、企業にとって適切なプロセス戦略と設計が導入されていることが重要となります。導入できていない場合、ITSMプロセスを首尾よく実行することはできないでしょう。

すべての事業プロセスに対して、ITとITSMプロセスにはつながりがあり、このつながりが企業による効率的な事業運営を可能にします。

すべての要素が重要な理由

なぜこれらすべての要素が重要なのか?なぜITSMを重要視すべきなのか?これはとてもいい質問です。技術、サービス、そして社員一人一人をつなぐ基本的なつながりについて改めて気づかせてくれる質問です。 

現代の企業は、技術に大きく依存しており、技術に依存することから逃れられなくなっています。社員にとって技術がうまく機能すれば、どんなことでもできるでしょう。一方、技術が適切に展開されていない場合や、目的にそぐわない場合、あらゆることが難しい作業になるでしょう。場合によっては、企業全体に大きな影響を及ぼすこともあります。 

現在企業では、日常業務を遂行するため、実質的にすべての事業部門がソフトウェアやハードウェアに依存しています。そして、各種ツールや技術が期待通りに正常に機能していることを保証するため、ITSM事業部門の優秀な社員が必要なサポート業務に取り組んでいます。

さらに、今後10年の間に、ITSMによって、カスタマイズされたサービス向けの新しいモデルが実現され、業績を次のレベルへと引き上げるために役立つ新たなイノベーションを企業にもたらすことが重要視されるようになるでしょう。 

これを現在の市場で実現できる唯一の方法は、技術を戦略的に使用することでしょう。企業と技術は切り離せないものとなっているのです。実際の業績とお客様に提供する価値を重要視することは、急速にITSM事業部門が新たに取り組むべき課題となっています。新たに市場をリードする立場となる企業になれるか、その他大勢の企業になるかは、この新たな価値を重視できるかどうかにかかっています。

満足度の高いサービス、堅実なプロセス、信頼できる技術は、始まりに過ぎません。これらはいわば、今後10年のITSM、すなわち、業績とお客様に提供する価値を重視するITSMの出発点に過ぎません。そして堅実なITSMフレームワークすなわち、新世代のITSMソリューションとIT事業部門の新たなモデルの鍵となるフレームワークが確立されている場合のみ、この業績とお客様に提供する価値を重視する新たなITSMを実現することができるでしょう。